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メディア掲載履歴

全国賃貸住宅新聞の連載コラム「アトラクターズ・ラボの市場トレンド分析」2010年
第1回
賃料査定に確固たる理由が必要
第2回
将来賃料が分からなければ投資はできない
第3回
失敗しない商品企画の立案方法
第4回
エリアの需給バランスは分かるか
第5回
新規供給はいつまで続くのか?
第6回
需要減退の隠れた要因
第7回
賃料はどこまで下がるか
第8回
キャンペーンのあり方
第9回
賃貸住宅市場反転の時期
第10回
キャッシュフロー視点での物件評価手法
第10回「キャッシュフロー視点での物件評価手法」
賃貸住宅の購入検討をする時に最も重要な視点はキャッシュフローがどうなるかを想定することに尽きる。利回りは高くても、出口価格が低いようではIRRなどの指標は悪くなる。この当たり前のことが意外に行われていないのが実状である。では、キャッシュフローに与える影響を分解すると、5つに集約される。(1)収益性(例:各種利回り指標)、(2)安定性(例:賃料・空室率の安定性・ボラティリティ指標)、(3)将来性(例:将来の賃料下落率や需要の増加見込み)、(4)優位性(例:周辺ストックの中での物件の優位度)、最後に(5)流動性(例:売却額の高さや売却し易さ)である。これらの分析結果データをキャッシュフローソフトに入れてシミュレーションすることで、リスクとリターンを想定することになる。
物件選択にはこの5軸の評価が必要で、リターン(利回り)だけでなくリスク判断を重要視しなければならない。リスクとリターンは相反するケースが多いので、利回りが高い物件は出口を見つけられない(流動性が低い)可能性は高いし、現在のNOIが高くても一時的で長期的には安定しないケースも多い。5軸のどこが弱みで、それを改善する手法を持ち合わせているならば(例:ヴァリューアップなど)、購入に前向きになれる。とかく、「都区部・駅近・シングル」などと最初から検討条件を絞る方が多いが、競争相手が多いがゆえにその条件では買いにくくなるので、独自のノウハウを積上げることが求められている。コア投資においても同じで自分達の強みが発揮できる物件を購入するには財務面も含め差別化は不可避である。つまり、市場に流通する物件と自分たちの強みや許容度がマッチすることにフォーカスすべきであり、それがリスクコントロールした資産形成をすることに他ならない。
そうしたノウハウは周辺市場の分析と定点観測をすることから知見として蓄積されることになる。例えば、周辺にファミリータイプが多い時に、多いから供給過剰となり易いと見るのか、多いからこそ安定していると見るのかの見識がない人は多い。見識を早急に蓄積するには、賃料査定を大量にするのが近道となる。5軸のうち、賃料の収益性、安定性、将来性を分析するのに、賃料査定ツールがあれば5分程度でできる。意思決定は早くなると、質の高い仕事へと移行することが可能となり、その継続が差別化になる。
今回でこの連載を終えるが、学習に終わりはない。ここに書いてきたことが少しでも活用されれば幸いです。
【参考】物件評価レポート http://www.a-lab.co.jp/product/best4.html

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