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メディア掲載履歴

全国賃貸住宅新聞の連載コラム「アトラクターズ・ラボの市場トレンド分析」2010年
第1回
賃料査定に確固たる理由が必要
第2回
将来賃料が分からなければ投資はできない
第3回
失敗しない商品企画の立案方法
第4回
エリアの需給バランスは分かるか
第5回
新規供給はいつまで続くのか?
第6回
需要減退の隠れた要因
第7回
賃料はどこまで下がるか
第8回
キャンペーンのあり方
第9回
賃貸住宅市場反転の時期
第10回
キャッシュフロー視点での物件評価手法
第1回「賃料査定に確固たる理由が必要」
ハウスメーカーや家賃保証会社や管理会社で賃料査定をきちんとやっているところは非常に少ない。特定の物件検索サイトから適当にサンプリングし、鉛筆を舐めているのが実態といったところである。先日、商品企画に優れていることを謳った物件が非常に人気だと聞き、査定してみたら、相場よりも10〜15%程安かった。そんなに安ければどんな商品企画でも「人気」になる。
賃料査定はうちではこうしている。まずサイトは複数からデータ取得をし、広告出稿している仲介会社の偏りをなくし、これを過去に遡ってサンプルを増やす。そうすると新築物件などを中心にデータの重複が多くなるので、この重複を削除する。物件周辺のストックを反映したサンプルにするにはこうした下準備が必要になる。次に、査定したい条件に近しい類似事例をピックアップし、比準対象とする。この際、サンプルは100事例程度は少なくとも集めるようにしている。最後にこの事例を指定した条件通りに補正する。面積・立地・築年・階数・向きなどは各サンプル毎に異なるので、それをその近隣事情を踏まえて(渋谷駅と横浜駅の1m2や1分の価値は自ずと異なるのでその根拠を統計処理して)補正することになるので、サンプリングするよりも大変な作業となる。ここまでやるのは手作業をしていては数時間はかかるので、これをうちではシステム化している。査定にかかる時間は約1分で済むし、まとめて1万件というのも数時間あればできてしまう
この作業をシステム化で短時間にできると、ここからが頭の使い方で差を付けることになる。先日このコラムで書いたように、築年経過後の賃料を想定したり、賃料査定結果と設備等のグレードから最終結果に根拠を付けたり、賃料の変動幅からリスク(ボラティリティ)を想定したり、どの間取りが高くなるか分析したり、と言った具合である。本来提案営業するためには、このシステム上の査定結果に意味を持たせることが非常に重要になる。情報が流通する現代において、オーナー特に個人投資家は非常に勉強している。オーナーにできないことが不動産会社に求められている専門スキルであり、それは市況説明や賃料査定やリーシング戦略であることは間違いない。利用フェーズとしては、初期の賃料設定(鳥かご作り)、サブリース料の設定、空室時の募集家賃設定、契約更新時の賃料改定など様々で、さみだれ式に日常業務として行われることになる。査定の作業に追われることなく、オーナーに提案できる見識が今後の業務水準の分水嶺となるであろう。
【参考】住宅賃料査定ASP http://www.a-lab.co.jp/product/asp.html

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