Attractors Lab logo image
Homeメディア掲載履歴 > 全国賃貸住宅新聞の連載コラム「アトラクターズ・ラボの市場トレンド分析」2010年

メディア掲載履歴

全国賃貸住宅新聞の連載コラム「アトラクターズ・ラボの市場トレンド分析」2010年
第1回
賃料査定に確固たる理由が必要
第2回
将来賃料が分からなければ投資はできない
第3回
失敗しない商品企画の立案方法
第4回
エリアの需給バランスは分かるか
第5回
新規供給はいつまで続くのか?
第6回
需要減退の隠れた要因
第7回
賃料はどこまで下がるか
第8回
キャンペーンのあり方
第9回
賃貸住宅市場反転の時期
第10回
キャッシュフロー視点での物件評価手法
第3回「失敗しない商品企画の立案方法」
仕事柄、賃貸住宅の商品企画について調査をすることが多い。最近では、新築だけでなく、建替えの相談も増えてきているのはご時世だろう。実は商品企画には王道のアプローチが存在する。それは周辺のストックを徹底的に調査することだ。なぜなら、商品企画は動かすことのできないその立地において「最有効利用」を検討することに他ならないからである。
まずやることはターゲットの特定である。都市圏では駅周辺のストック分布を把握すると借家世帯(需要)の分布が判明する。ストックはなぜ分かるかというと、住宅地図から物件を特定してその全物件を見て廻るというのは労力が掛かり過ぎるので、うちの場合、過去数年溜めてきた募集住戸分布を10分程度で集計して定型レポートにしてしまう。居住者の平均入居年数が約4年なので4年分あればいいが、毎月データを取得しているなら1年分もあれば充分であろう。面積帯毎にどの程度市場規模があるかが分かると、このストック分布に応じて募集広告が出され、募集広告に比例して入居者がやってくることになる。これがこの場所の潜在需要であり、賃貸住宅の場合、ストック分布に逆張りをするとたいていの場合失敗している。賃貸住宅市場は20〜30年掛けて形成されるものであり、ストック分布はこれまでの成功の縮図と考えた方がいい。
大規模な物件であればストック分布に準じて、単身・2人・ファミリー世帯の割合を決めることになるが、賃貸住宅の場合には1棟当たりの戸数が少ないので、ターゲットを絞り込むケースが多い。絞り込み方は同一セグメント(面積帯や間取り)における立地と築年数の分布を見て決めることが多い。(これ以外では、空室率や将来賃料なども算定して裏を取ることもある。)この2つの要素が賃料に最も影響するからである。駅から離れるに従って単身向きからファミリー向きになっていくのが常だが、駅毎ならびに面積帯毎にその分布は大きく異なるのが実状である。徒歩5分が稀少な駅もあれば、そうでない駅もある、ということである。築年においても、築浅の稀少性は駅やセグメント毎に大きく異なる。
ターゲットが決まったら、最後に専有面積を細かく決めることになる。この際注意するのが、グロス賃料(管理費を含む)である。入居者の多くは物件検索サイトを経由して内覧を申し込むために、賃料の上限を設定して物件を絞り込む顧客は多い。10万円を超えると検討しない顧客が途端に多くなるエリアで、そうせざるを得ない専有面積にするのは機会損失が多過ぎる。新築の際から9.8万円で賃料設定し、坪単価で最高値を追える面積設定をすることになる。これがオーナーのキャッシュフローを最大化させる商品企画のあり方であり、これまで失敗したことはない。
【参考】賃貸マーケティングレポート http://www.a-lab.co.jp/product/report.html

ページトップ
copyright