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メディア掲載履歴

全国賃貸住宅新聞の連載コラム「アトラクターズ・ラボの市場トレンド分析」2010年
第1回
賃料査定に確固たる理由が必要
第2回
将来賃料が分からなければ投資はできない
第3回
失敗しない商品企画の立案方法
第4回
エリアの需給バランスは分かるか
第5回
新規供給はいつまで続くのか?
第6回
需要減退の隠れた要因
第7回
賃料はどこまで下がるか
第8回
キャンペーンのあり方
第9回
賃貸住宅市場反転の時期
第10回
キャッシュフロー視点での物件評価手法
第7回「賃料はどこまで下がるか」
首都圏賃貸住宅関係者の最近の話題は「市況が底を打ち、反転するのはいつか」ということである。うちのクライアントへのアンケート調査結果では「もう反転した」「底は打ったが、底這いが続くだろう」「まだ底が見えない」と見方はまだ分かれているのが実状である。
最近、繁忙期が終わったこともあり、いくつかの現象が見られるようになっている。例えば、新築物件を除くとキャンペーン情報(フリーレントなど)が減少しつつある。賃料の減額幅もまだ下がっているものの、ダウントレンドに終止符が打たれたように見える。賃料が下がっている現状をとらえるデータとして、うちが重宝しているのが、「賃料改定」という情報である。
これは同一物件・同一住戸が1年以上前の募集条件に対してどのように変わったかを見ている。平均して約2年の募集期間の差があり、一旦入退居があった前後での賃料比較を表している。月次でデータを見ると、リーマンショックの3ヶ月前から高額賃貸から下がり始め、徐々に賃料帯の安い住戸に玉突きを起こすように下がってきており、最近では高額賃貸の下げ止まり傾向が見られるようになってきている。高額か否かの区分は通常20万円以上・未満で決めている。母数では20万円未満が圧倒的なので、これが賃料の指数とほぼ一致することになる。
この20万円未満の賃料はリーマンショック前と比較して2%程度落ち込んでいる。但し、同一住戸が2年経過後の2%落ちなので、築年が古くなった分だけ安くなったというだけで特別に市場が崩れているという訳ではない。この賃料改定指数がどの程度で止まるかというと、目安は給与指数(支払い能力)に準じるものと考えている。この給与指数はこの間3%近く安くなり最近やや回復基調で、賃料指数と給与指数はグラフに見るように、下支え要因になってきたことが読み取れる。
但し、まだ賃料が下がり始めて2年なので、平均入居期間が4年程度の賃貸住宅においては、あと2年程度は低空飛行が続くことが想定される。しかし、これ以上底割れして安くなることはないであろうと考えている。というのも、賃貸住宅市況や賃料は景気に対して約1年遅れて動くことが過去の分析によって分かっており、景気は2009年3月を底にして緩やかな回復基調を辿ろうとしている。この影響が出始める時期に来ており、「そろそろ潮目の変わり時」であることが期待される。また、2010年は新規需要は減退しているが、新規供給が抑制されているので、昨年以上の悪化は考え難い。市況回復の条件は揃いつつある。
グラフ
【参考】賃料インデックス http://www.a-lab.co.jp/product/index.html

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