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メディア掲載履歴

全国賃貸住宅新聞の連載コラム「アトラクターズ・ラボの市場トレンド分析」2010年
第1回
賃料査定に確固たる理由が必要
第2回
将来賃料が分からなければ投資はできない
第3回
失敗しない商品企画の立案方法
第4回
エリアの需給バランスは分かるか
第5回
新規供給はいつまで続くのか?
第6回
需要減退の隠れた要因
第7回
賃料はどこまで下がるか
第8回
キャンペーンのあり方
第9回
賃貸住宅市場反転の時期
第10回
キャッシュフロー視点での物件評価手法
第2回「将来賃料が分からなければ投資はできない」
将来のキャッシュフローからIRRを求めて不動産投資をするのは今や当たり前であろう。物件の今の単純利回りだけからIRRを想定することは不可能であり、様々なだましのテクニックが存在する。例えば、レントロールが関係者入居で高く設定されていたり、隠れた修繕費用が多大に上ったり、手法は様々だ。騙しを除いて考えると、適切な投資となるには将来のキャッシュフローが不可欠になる。その際、重要なのが、(1)将来の賃料と(2)将来の売却価格の査定である。現在の利回りが高かろうが、上記の(1)と(2)が大幅に下がれば最終的にマイナス投資となることは往々にしてあることだ。
不動産投資の黎明期とも言えるこの10年間が過ぎようとしている中、(1)と(2)の依頼が後を絶たない。本来であれば、建築時にこれらのことを考慮してプランニングすべきで、先日も建替計画のある物件で調査報告した。その物件は東京都港区の高台にあり、築30年以上で新耐震施行前に建てられたもので、将来の需給バランスとキャッシュフローのリスクを考慮して計画の最適化を策定するものであった。分析をしていくと、結論は比較的早く分かる。あとはその根拠を組み立てて行くと、典型的なロジック通りになり、納得感の強いものとなった。
こうした結果は実は立地によって異なる。シングルタイプが向いているところもあればファミリータイプの場合もある。敷地規模が大きくなると、組み合わせとして面積帯毎に割合を算出して回答を出している。答えを導く前段で賃料の下落リスクを面積帯毎に計算する。同じところであっても、築30年経過すると25%下落する面積帯もあれば、45%に及ぶところもあり、当然25%の面積帯を選ぶことになる。要するに、(1)の賃料下落リスクは算定できるし、その根拠も明確にすることができる
次に(2)の将来の売却価格であるが、最近、賃貸マンションを1棟で購入し、これを区分所有に分けて売却する事業者が多く存在するようになった。単価で言うと、1棟収益物件が最も安く、区分収益住戸(賃貸入居者が居て、利回りで購入する中古区分所有)がその次で、区分実需住戸(未入居で自分が住むために購入する中古区分所有)が最も高くなるのが一般的である。このように出口(売却)は多様化しており、その出口価格は売り方によって大きく異なる
その場所でその面積帯がいくらで売れそうかだけではなく、販売に必要な期間がどの程度かも重要な判断指標となる。流通量が少なければ、販売リスクは高くなるからだ
こうして見てきたように、キャッシュフローで不動産投資を判断するのが前提の中で、将来の変動リスクをどこまで読み込むかが重要である。購入時の利回りばかりに目を奪われる人は地方の高利回り物件に手を出すが、その後のキャッシュフローは何の拠り所もない丁半博打をしているに過ぎない。プロはもちろんそんなことするわけない。
グラフ
【参考】住宅賃料査定ASP http://www.a-lab.co.jp/product/asp.html

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