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メディア掲載履歴

全国賃貸住宅新聞の連載コラム「アトラクターズ・ラボの市場トレンド分析」2010年
第1回
賃料査定に確固たる理由が必要
第2回
将来賃料が分からなければ投資はできない
第3回
失敗しない商品企画の立案方法
第4回
エリアの需給バランスは分かるか
第5回
新規供給はいつまで続くのか?
第6回
需要減退の隠れた要因
第7回
賃料はどこまで下がるか
第8回
キャンペーンのあり方
第9回
賃貸住宅市場反転の時期
第10回
キャッシュフロー視点での物件評価手法
第8回「キャンペーンのあり方」
弊社ではツイッターで東京23区のキャンペーン物件や市況などについてつぶやいている。キャンペーンの中でも目立つものを「驚愕のキャンペーン」と称してピックアップ、AD200%などがこれに当たる。このキャンペーンが4月以降つぶやくネタが減っている。3月末までの期間限定で行っていたキャンペーンがひと段落してしまった感がある。市況が急激に回復している訳ではないが、繁忙期を過ぎたことで顧客獲得に躍起になる時期が終わったことを実感する昨今である。
こうしたキャンペーン情報はファクトシートとともに社内でDB化している。駅単位で集計してみると、どこで激烈な競争が多いかが分かる。現在では港区は麻布十番駅、渋谷区は恵比寿駅が最も多くなっている。時系列で見ていくと、大規模新築物件の竣工からリースアップまでの期間に影響を強く受けることが分かる。この意味で、エリア市況の把握には欠かせない情報になっている。各物件のリーシング戦略は周辺市況(例:賃料や礼金の水準)と競合となる物件のリーシング戦略(例:募集条件とキャンペーン)によって決まる。ちなみに、最も効果的なキャンペーンを業界関係者にアンケートしたところ、1位礼金ゼロ、2位AD(広告手数料)、3位フリーレントで、4位以下は目立った効果はないことが分かっている。これらの情報を物件毎にタイムリーにおさえることを定点観測手法と考え、安価なシステムとして提供し、多くのAM会社で採用を頂いている。情報が過不足なく手に入れば、後は意思決定をするだけなので、業務は効率化することになることがその採用理由である。
グラフ既存物件についてはこのように問題解決しているが、空室対策において最も大切なことはこうした対処療法ではない。優先順位で考えると、第一は、商品企画(プランニング)である。立地毎の最有効利用となる企画作りが最大かつ適正な賃料設定を可能にする。これは立地毎に周辺ストック市場の綿密な調査から決まってくる。第二は、賃料設定である。適正な賃料を設定の範囲にとどめなければ、キャンペーンには限界がある。競合の賃料設定と該当物件のポジショニングから適正賃料は導かれる。第三に、キャンペーンとなる。市況悪化時には、競合物件動向から先手を打たないと機会損失を拡大していくことになる。市況判断とキャンペーン情報から、仲介会社が決め易い環境作りをすることが要諦となる。このように、空室対策は建築企画から始まり、周辺市況とその中での物件のポジショニングからリーシング戦略は決定される。物珍しいキャンペーン手法を取らなくても済むようでなければ、そもそも失敗物件ということになるので、開発や取得の段階では充分に吟味して頂きたい
【参考】PMレポート http://www.a-lab.co.jp/product/pmreport.html

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