【要旨】
◆ 2009年度の総着工戸数は78万戸で100万戸を割り込み、2010年度は81万戸と回復の勢いは期待できない
【概要】
不動産マーケティングのアトラクターズ・ラボ株式会社(東京都千代田区・代表取締役:沖有人)は、日本全国の着工戸数の短期予測を行ったので公表する。
2009年度はサブプライムに端を発する100年に一度の不況の影響に加え、不動産価格の低下局面となったことによる資金供給の減退により、大幅に住宅着工戸数が減少している。
2009年11月までの着工実績値を元に、過去のトレンドにのっとり、独自に予測モデルを構築し、これを将来展開して予測値を算出した。モデルの特徴は外生変数(GDP予測値など)を用いず、過去の着工戸数の推移から短期・中期のトレンドを導き、これを複合して作成している点で、これまでの調査実績から外部環境に大きな変化がない場合には予測精度が高いことが分かっている。
この結果、09年度(09年4月〜10年3月)は78万戸(08年度104万戸)となった。モデルは住宅種類別に作成し、中でも分譲マンションが前年比6割以上減少し、次いで賃貸マンションが32%減、アパート25%減、戸建8%減、全体では25%減少となった。
2010年度は現在起きつつある緩やかな反動で前年度水準の低さからやや持ち直すものの、全体では81万戸程度の4%増に止まり、大幅な回復が見込めないと予測する。
住宅種類別には、09年度の減少幅の大きかった種類の反動が大きく、分譲マンション18%増、賃貸マンション7%増、アパート4%増、戸建1%増となるが、前年度の減少幅に比して限定的になる。
理由として、(1)過去の山一・拓銀の金融ショックの際に見られた回復なき持家の需要減退の再来、(2)倒産などによる供給事業者の絶対的な減少、(3)賃貸市況の需給の悪化などが主因として挙げられる。
V字回復シナリオを描くための条件としては、景気の回復はもとより、雇用環境・給与水準の改善により需要を回復させる必要があり、住宅政策においても有効策が打たれない現在、短期的には困難と判断した。
【問合せ先】担当:沖 03-3221-2556
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